鍼灸で始める周期療法

鍼灸と妊活。なんだか良いと言われているけれど、なぜ?
そう感じる方も多いですよね。私も初めはそうでした。鍼灸学生時代、アルバイトをしていた鍼灸院に『妊娠したい』という目的で通われている方が多くいらっしゃり、妊活と鍼灸がどうも繋がらず、気になって必死で勉強し始めたことを思い出します。

勉強していくうちに、生理周期との関係や、疾患との関係、気、血、水、陰陽五行の関係、内膜や、卵の質との関係がどんどんと見えてきました。その中でも、妊活中の方が鍼灸治療を始める上で基本となる、『周期療法』についてお話してみようと思います。

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目次

周期療法とは

月経周期は、

  • 月経期
  • 卵胞期(低温期)
  • 排卵期
  • 黄体期(高温期)

の4つがありますが、それぞれの周期に目的があり、周期ごとに体が変化しています。体温や、各ホルモンの増減、卵の成長や排卵、子宮内膜の成長や黄体化など、約1ヵ月のうちに女性の体内では、各器官がバランスをとりながら変化しています。
また中医学では陰陽の概念でも周期を捉えます。

中医学的にみる月経周期

  • 月経期⇒(陽から陰となる)
  • 卵胞期⇒
  • 排卵期⇒(陰から陽となる)
  • 黄体期⇒

この各周期の目的に合わせて漢方を処方したり、体調を整えることが周期療法と呼ばれます。妊活を目的とした鍼灸治療では、この周期療法を応用して治療を行っています。

月経期

子宮内膜が剥がれ落ち、血液と一緒に排出される、いわゆる生理の時期を指します。生理が来るころ、体温はぐぐっと下がり、『陽』から『陰』に転化します。

月経期の目的

妊娠(着床)に向けて、新たな子宮内膜を作るため、古くなった内膜を排出します。そのためには子宮を収縮させ、経血(生理の出血)をしっかりと出し切ることが大切です。

卵胞期

卵巣内で15~20個の卵胞を育て始め、そのうちの1つが卵子として成熟します。同時に子宮内膜も着床に向けて厚みを増していきます。4つの周期の中で1番体調が良いとされる期間です。

卵胞期の目的

卵を育てるこの時期は、良い卵子が育つようホルモンのバランスを整えます。また、スムーズに排卵できるように準備することが目的です。よく動き、よく寝る、メリハリのある生活が理想的です。

排卵期

卵子が排卵され、卵管で精子を待ちます。排卵の前後5日を排卵期といいます。

排卵期の目的

卵子がスムーズに排卵されるようゆったりとした気持ちで過ごすことが大切です。また、十分に成熟した卵子がスムーズに排卵できるよう、排卵を促します。卵胞期の過ごし方が良い排卵に繋がります。メリハリのある卵胞期を過ごしたら、ゆったりとした気持ちで排卵期を迎えましょう。

黄体期(高温期)

体温は高い状態が続きます。また子宮内膜が最も厚くなります。卵子と精子が受精した場合、受精卵が子宮に着床するのを待ちます。排卵期での大きなホルモン変化により、便秘肌荒れPMSなど、不快な症状が出やすい時期です。

黄体期の目的

子宮内の血流を上げ、受精卵が着床しやすいよう子宮内膜を整えます。また不調が出やすいこの時期は、栄養をしっかりと補給し、ゆったりとしたストレッチがおすすめです。妊活中はそわそわとしやすい時期ですね。そわそわする気持ちが自律神経を乱し、生理周期を乱すことも。そわそわするのは仕方がないこと。スマホやSNSから距離を取り、趣味に没頭したり、お出かけしたりして、楽しい時間を過ごしましょう。

周期に合わせた鍼灸治療

個人差はありますが、月経周期は28日ほどが良いと言われています。低温期が14日、高温期が14日というバランスですね。毎月かなりのばらつきがあったり、高温期が極端に短い、そもそも基礎体温がバラバラ、排卵期の体温上昇に3日ほどかかるなど、なにか悩みを抱えている方も多いと思います。

それぞれの周期の目的に合わせた鍼灸治療を行うことで、体が正常な周期に戻ろうとします

疾患とおすすめの治療時期

週に1回治療を行うことで、4つの周期すべての治療をすることができます。そのため体調が落ち着いてくるまでは週に1回の治療がおすすめです。ただし週に1回の通院は難しいという方には、以下を参考に鍼灸治療を検討してみてください。

子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫、月経痛、チョコレート嚢腫

特に治療を受けてほしい周期
①月経期
②高温期

①月経期には子宮の収縮を促し、さらに骨盤内の血流を上げ、子宮内膜を出し切る目的で治療を行います。子宮内膜が子宮以外にできてしまう疾患は、骨盤内が冷え、子宮の収縮が十分でない為に子宮内膜が残存し、様々な不調を引き起こすと考えます。そのため、月経の出血のある時期の治療が最重要です。月経期に鍼灸治療を繰り返すことにより、次の生理、次の生理とどんどん痛みが軽くなっていきます。

②高温期には主に生理痛を起こしにくくする目的で治療を行います。子宮内膜の厚みが最大となる高温期。どんどんと厚みを増すこの時期に柔らかく、血流の良い子宮内膜にしておくことで生理痛を予防します。また、この時期は不調も出やすいため、頭痛や腰痛、腹痛、胃腸の不調、イライラなど、その方に合わせて臨機応変な治療を行います。

排卵障害、POCS(多嚢胞性卵巣症候群)

特に治療を受けてほしい周期
①排卵期
②卵胞期(低温期)

①排卵期には全身の調整によりくすぶっている排卵を促します。何が原因で排卵がうまくいかないのかは人それぞれですが、毎月この時期に治療を行うようにすることで排卵の引き金を作ります。体温がダラダラと3日ほどかけて上がる方は、鍼灸治療で体温を一気に適切に上げることが、スムーズな排卵に繋がります。

②スムーズな排卵のためには卵胞期(低温期)、この『陰』の時期にいかに『陰』を溜めることができたかが重要です。コップに水を溜めると一気にあふれ出すように、『陰』を目いっぱい体に蓄え、勢いよく『陽』の時期に変換します。この時期の治療を充実させることにより、低温期と高温期の体温の差がはっきりとしてきます。

黄体機能不全(高温期が持続しない)

特に治療を受けてほしい周期
①卵胞期(低温期)
②高温期

①高温期を充実させるためには、卵胞期(低温期)にいかに『陰』を溜め込むかが重要です。先ほどと同じように『陽』を充実させるには『陰』を目いっぱい蓄え、『陽』に転化させることが必要なのです。高温期=『陽』が続かない、途中で落ち込む、それは陽不足ではありますが、その原因は『陰』の不足にあります。

②卵胞期の治療とともに高温期の『陽』の補充を行うとさらに効果的です。卵胞期の治療のみで、高温期が持続する場合も多いのですが、途中で体温の落ち込みがある方には高温期の治療の併用がお勧めです。『陽』そして体温の持続を目的に治療を行います。

無排卵月経、稀発月経

継続的な治療をお勧めします。過去の生活や過去現在のBMI、食事の状態など、原因を探りながら中医学的に体を整えていきます。目的に合わせて生活や食事を整えながら治療を続けましょう。

その他(高プロラクチン血症、甲状腺機能低下症、亢進症など)

薬を服用させている方が多いと思います。経過を見ながら、その方に合わせた治療スケジュールを提案させて頂きます。

最後に

病名がついてしまうと、妊娠がとても遠のいたような、自分は価値がないのではないかと必要以上に落ち込んでしまうこともあるでしょう。体はすべて繋がっています。症状や数値として表に出てきた問題を、体を整えるきっかけと考え、立て直すために適切な努力を一緒にしていきましょう。どこをゴールとするのか、どうなりたいのか。一緒に考え、時には立ち止まり、前向きに歩いていくお手伝いができれば嬉しいです。

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