新鮮胚移植とは?

目次

1. 新鮮胚移植とは

体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)で採卵した卵子を受精させ、受精から2〜5日ほど培養した胚を凍結せずに、そのまま子宮に戻す方法を「新鮮胚移植」といいます。

  • 採卵と同じ周期に行う
  • 受精卵が順調に分割していることを確認して移植する

2. 新鮮胚移植のメリット

  • 早く移植できる
    → 採卵してすぐに戻せるため、治療の流れがスムーズ。
  • 費用が少し抑えられる
    → 凍結や融解の工程が不要なため、凍結胚移植に比べて費用が安いことも。
  • 自然に近い流れ
    → 本来の排卵後に近いタイミングで移植できる。

3. 新鮮胚移植のデメリット・注意点

  • ホルモン環境が不安定になりやすい
    採卵刺激でE2(エストラジオール)が高くなりすぎると、子宮内膜が胚を受け入れにくくなることがあります。
  • OHSS(卵巣過剰刺激症候群)のリスク
    採卵周期はホルモン変動が大きいため、OHSSを避けるために移植を見送ることもあります。
  • 妊娠率は施設により差がある
    研究によっては、凍結胚移植の方が着床率・妊娠率が高いとされることもあります。

4. 凍結胚移植との違い

  • 凍結胚移植は、一度受精卵を凍結し、後の周期で子宮環境を整えてから移植します。
  • 凍結胚移植の方が「ホルモン環境を整えやすく、妊娠率が安定しやすい」という報告があり、現在は凍結胚移植が主流です。
  • ただし「早く移植したい」「凍結コストを抑えたい」という方には新鮮胚移植が選択される場合もあります。

5. 鍼灸院からのメッセージ

新鮮胚移植と凍結胚移植、それぞれにメリットと注意点があります。
どちらが良いかは、卵巣の状態やホルモンの数値、医師の判断によって決まります。

鍼灸では、採卵後の体の回復や子宮内膜の血流改善をサポートすることで、どちらの方法でも妊娠に向けた体づくりをお手伝いできます。

「自分に合った移植方法はどれだろう?」と迷ったときに、安心して選択できるように、このブログが参考になれば嬉しいです。


新鮮胚移植のスケジュール例

※施設ごとに違いはありますが、代表的な流れです。
※薬の種類も例であり、必ずしも全員が同じではありません。


📌 Day2〜3(生理2〜3日目)

  • 採卵に向けて 排卵誘発開始
    • クロミッド®(クロミフェン)やレトロゾール®(フェマーラ®)
    • 注射(hMG製剤:HMG-FERTINORM®など)
  • 子宮内膜を整える準備スタート

📌 Day8〜12(卵胞チェック)

  • 超音波で卵胞の大きさを確認
  • 必要に応じて排卵抑制薬(セトロタイド®などGnRHアンタゴニスト)を併用
  • 内膜が7mm以上になっているかも確認

📌 Day12〜14(採卵日)

  • 卵胞が18〜20mm前後に育ったら、hCG注射(ゴナトロピン)やオビドレル®注射で排卵を誘発
  • その約36時間後に採卵
  • 採卵当日、パートナーは精子を採取
  • 採卵した卵子を受精させ、体外受精または顕微授精

📌 Day14〜19(受精卵の培養)

  • 受精確認:採卵翌日(Day1)
  • 分割期胚(Day2〜3) または 胚盤胞(Day5前後) に成長したら移植へ
  • この間に 黄体補充を開始
    • ルティナス®膣錠、ルテウム®膣座薬、ワンクリノン®ゲルなど
    • 併用薬:デュファストン®内服など

📌 Day17〜20(移植日)

  • 胚の状態を確認し、分割胚(Day3)胚盤胞(Day5) を子宮内に移植
  • この時期も黄体補充を継続
    • ルティナス®1日2〜3回
    • ワンクリノン®1日1回
    • デュファストン®1日2〜3回(補助的に)

📌 Day30前後(移植から約2週間後)

  • 妊娠判定(hCG測定)
  • 陽性なら黄体補充を継続(多くの施設では妊娠10〜12週頃まで)

ポイント

  • 新鮮胚移植は採卵と同じ周期に行うのが最大の特徴
  • 胚盤胞(Day5)を戻す場合は、採卵から5日後の移植になる
  • 黄体補充は移植日から開始する施設もあれば、採卵日から始める施設もある
  • 妊娠判定までの約2週間は、薬をしっかり継続することがとても大切

新鮮胚移植についてよくある質問Q&A

Q1. 新鮮胚移植って何ですか?

A. 採卵して受精卵を培養したあと、凍結せずにそのまま子宮に戻す方法を新鮮胚移植といいます。
採卵と同じ周期に移植できるため、「新鮮」と呼ばれています。


Q2. 新鮮胚移植のメリットは?

  • 採卵した周期にすぐ移植できるので、治療がスピーディー
  • 凍結や融解の工程が不要な分、費用を抑えられることがある
  • 排卵後の自然な流れに近いタイミングで移植できる。

Q3. デメリットはありますか?

  • 採卵刺激でホルモン値(特にE2)が高くなり、子宮内膜が着床しにくい状態になることがある。
  • 卵巣が腫れてしまう OHSS(卵巣過剰刺激症候群) のリスクがある場合は移植を見送ることも。
  • 一部の研究では、凍結胚移植の方が妊娠率が高いと報告されています。

Q4. 凍結胚移植との違いは何ですか?

  • 新鮮胚移植:採卵した周期にそのまま移植。
  • 凍結胚移植:いったん胚を凍結し、ホルモン環境を整えた周期に解凍して移植。

最近は、妊娠率の安定や安全性の面から凍結胚移植が主流になっていますが、状況によっては新鮮胚移植が選ばれることもあります。


Q5. どちらが良い方法ですか?

A. 一概にどちらが良いとはいえません。
卵巣の状態・ホルモン値・年齢・医師の方針などによって、最適な方法が変わります。

  • 体の状態を整えながら「凍結胚でベストなタイミングを待つ」
  • 状況が良ければ「新鮮胚をすぐに戻す」

どちらも正しい選択です。


Q6. 鍼灸でできることはありますか?

A. 鍼灸は、採卵後の体の回復を助けたり、子宮・卵巣の血流を改善するサポートになります。
自律神経を整えることで、移植に向けた体の準備にも役立ちます。
「新鮮胚でも凍結胚でも、移植に備えて体を整えておくこと」が大切です。


まとめ

新鮮胚移植は「すぐに移植できる」メリットがある一方、ホルモン環境の影響で着床に不利になることもあります。
どちらの移植方法が自分に合っているかは、医師と相談しながら決めることが安心につながります。

新鮮胚移植の流れは「薬の調整 → 採卵 → 移植」と慌ただしいサイクルです。
採卵後は体が疲れやすく、内膜やホルモンのバランスも不安定になりやすい時期。
鍼灸では 体力回復・血流改善・リラックス をサポートし、黄体補充の効果が活かされるよう、そして着床しやすい環境を整えていくことを大切にしています。

鍼灸院としては、どちらの移植を選んでも「体を整えるサポート」でお役に立てますので、不安や疑問があればお気軽にご相談くださいね。


参考文献

  1. 日本生殖医学会編『生殖医療ガイドライン』2021年版
  2. Roque M, et al. Fresh versus elective frozen embryo transfer in IVF/ICSI cycles: a systematic review and meta-analysis. Fertil Steril. 2013;99(1):156-162.
  3. Wong KM, et al. Freeze-all embryo strategy: fresh vs. frozen-thawed embryo transfer. Fertil Steril. 2017;107(2):323-330.
  4. 日本産科婦人科学会「体外受精・胚移植に関する見解」
  5. Roque M, et al. Fresh versus elective frozen embryo transfer in IVF/ICSI cycles: a systematic review and meta-analysis. Fertil Steril. 2013;99(1):156-162.

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