〜卵の若さを支える「長寿遺伝子」とミトコンドリアの関係〜
レスペクトロールとは?
レスペクトロール(Resveratrol) は、赤ワインやブドウの皮、ピーナッツなどに含まれるポリフェノールの一種です。
抗酸化・抗炎症作用が非常に強く、
「長寿遺伝子(サーチュイン遺伝子)」を活性化させる作用でも注目されています。
妊活で注目される主な作用
① 抗酸化作用による卵巣・卵子の保護
卵子は加齢とともに酸化ストレスの影響を受けやすくなります。
レスベラトロールはその酸化ダメージを軽減し、卵巣機能の維持や卵子の質改善に関与する可能性が指摘されています。
- 卵巣の抗酸化能を高める
- 卵胞内ミトコンドリアの機能を改善
- 卵巣老化を遅らせる(マウス実験で確認)
② AMH(卵巣予備能)・卵胞発育への影響
ヒトでの研究はまだ少ないものの、
PCOS(多嚢胞性卵巣症候群) の女性において、
レスベラトロールの摂取によりテストステロン低下・インスリン抵抗性の改善が報告されています。
そのため、PCOS関連の排卵障害の改善が期待されています。
③ ミトコンドリア活性化
卵子の「エネルギー工場」であるミトコンドリアを活性化し、
卵胞液内の代謝環境を整えることで、受精能・胚発育能をサポートする働きが考えられています。
④ 子宮内膜環境への影響
レスベラトロールには強い抗炎症作用もあります。
慢性子宮内膜炎や子宮内膜症における炎症性サイトカイン(IL-6, TNF-αなど)を抑える働きが報告されており、
着床環境の改善につながる可能性があります。
主な研究データ
| 分野 | 研究概要 | 結果・示唆 |
|---|---|---|
| 卵巣老化モデル(マウス) | 12週間のレスベラトロール投与 | 卵巣中の酸化ストレス低下・卵胞数の保持 |
| ヒト卵胞培養 | レスベラトロール添加 | ミトコンドリア機能改善・DNA損傷軽減 |
| PCOS女性(ヒト臨床) | 3ヶ月間 1,500mg/日 | 総テストステロン25%減少・インスリン感受性改善 |
| 子宮内膜症モデル | 炎症性サイトカイン抑制 | 着床障害改善の可能性 |
注意点
- 現在、ヒトでの「卵の質が上がる」明確な臨床エビデンスはまだ十分ではありません。
- サプリメントによって含有量・吸収率に大きな差があります。
- 高用量ではエストロゲン様作用があるとされ、妊娠中の使用は避けるべきです。
妊活で取り入れるときのポイント
| 項目 | 目安・注意点 |
|---|---|
| 用量 | 100〜300mg/日(サプリメントとして) |
| タイミング | 採卵前・卵巣環境改善目的での使用が中心 |
| 併用 | コエンザイムQ10、ビタミンC・Eなど抗酸化成分と相性◎ |
| 避ける時期 | 妊娠判明後〜妊娠中は中止推奨 |
まとめ
- レスペクトロール=卵巣・卵子を酸化ストレスから守る抗酸化物質
- 卵の質改善を間接的にサポートする可能性あり
- 特にPCOS・卵巣老化・子宮内膜炎症の方に注目されている
- ただし、「妊娠率改善」までの明確な証拠はまだ研究段階
補足:サーチュイン遺伝子と卵の若さ
近年、「サーチュイン遺伝子(SIRT1)」と呼ばれる長寿遺伝子が、
卵巣や卵子の老化スピードに関係していることがわかってきました。
この遺伝子は、細胞の修復・代謝調整・ミトコンドリア機能に深く関わります。
活性化することで、細胞のエネルギー効率を高めたり、酸化ストレスから守る働きを持っています。
卵子は生まれたときから体の中に存在しており、
年月とともに酸化ストレスで機能が低下していきます。
サーチュイン遺伝子がしっかり働くと、この酸化ダメージを軽減し、
卵巣機能や卵子の質の維持に関係していると考えられています。

妊活とのつながり
サーチュイン遺伝子の研究はまだ進行中ですが、
「卵巣の若さを保つ=卵の質を守る」という視点から、
レスベラトロールやコエンザイムQ10などの抗酸化サポートが注目されています。
とはいえ、サプリメントはあくまで補助。
睡眠・血流・栄養バランス・ストレスケアといった
日常の「卵巣をいたわる暮らし」が、なによりのベースです。
参考文献
- Liu M, et al. (2013). Resveratrol improves in vitro maturation of mouse oocytes by modulating oxidative stress.
- Zhang T, et al. (2016). Resveratrol supplementation improves ovarian function in aging mice through activation of SIRT1.
- Banaszewska B, et al. (2016). Effects of resveratrol on polycystic ovary syndrome: a randomized, placebo-controlled trial. J Clin Endocrinol Metab, 101(11):4322–4328.
- Khazaei M, et al. (2011). Resveratrol inhibits angiogenesis in endometriotic stromal cells through suppression of VEGF and HIF-1α.
- Taguchi A, et al. (2014). Resveratrol suppresses inflammatory responses in endometriosis through activation of SIRT1. Fertil Steril, 102(2):564–571.
- Yuan J, et al. (2020). Effects of resveratrol on reproductive function: a systematic review and meta-analysis. Reproductive Biology and Endocrinology, 18(1):109.
- Canto C & Auwerx J. (2009). Calorie restriction, SIRT1 and longevity. Trends Endocrinol Metab.
