妊娠中の鍼灸治療でできること

妊娠中は様々な体調の変化が起こります。体調だけでなく、涙もろくなったり落ち込みやすくなったりとメンタル面の不調に驚かれる方も多いと思います。薬も満足に使うことができず、体調管理がうまくいかないときはぜひ副作用のない当院の鍼灸治療をお試しください。お話しにくる感覚で、妊娠中の鍼灸治療も気軽に受けていただけると嬉しいです。

とはいえ妊娠中の鍼灸治療に対して不安のある方もいらっしゃると思います。今日は妊娠中の鍼灸治療がどんな症状に効果的なのか危険性はないのかについてお話していこうと思います。

目次

妊娠初期(~16週未満)

妊娠初期の主な症状

目まぐるしく変化する体調に翻弄され、心配にもなりやすい時期ですね。『気』が乱れることで様々な症状が現れやすい時期です。

・つわり
・頭痛
・情緒不安定
・頻尿
・眠気
・熱っぽい、寒気
・切迫流産傾向(お腹の張り、少量の出血)
・下腹部の痛み(チクチク)

上記すべての症状に対して鍼灸でのアプローチが可能です。妊娠がわかるころ、妊娠超初期からご来院いただけます。薬が満足に使えず、不安な時期だからこそ、ぜひお気軽にご相談にいらしてほしいと思います。

中医学的なつわりの種類

妊娠初期に鍼灸院にご来院される方で一番多いのは『つわり』です。
吐き気止めや点滴をしても気持ち悪さムカムカ嘔気げっぷ胃の不快感などはなかなかよくなりませんよね。食べられなくなってくると薬も飲めなくなり、どうしたらいいのかわからなくなってくると思います。私も1人目妊娠中につわりで5キロ痩せた経験があり、とにかく1日でも早く終わってほしかった辛い思い出があります。2人目以降の妊娠中は、鍼灸治療を取り入れて、働きながら乗り切ることができました。

つわりには大きく分けて2つの種類があります。
途中で移行したりすることもありますが、もともと持っている体質により、どちらかの症状が出やすい傾向があります。身体の状態から体質や原因を見極め治療していきます。

①脾胃虚弱(ひいきょじゃく)

胎児を養うため下腹部の気血が盛んになります。そのため気血が胃に届きにくく正常に働かなくなることにより、つわりの症状が起こります。個人差がありますが主な症状は以下の通りです。

・常に気持ちが悪い
・食欲がない
・食べると嘔吐する
・唾液がよく出る(比較的サラサラ)
・疲労感がある
・すぐに眠たくなる
・腹部に拍動を感じる

脾胃虚弱に対しては『脾』『胃』を補う治療を行います。動きが悪くなった胃の動きを促し荒れた胃を修復していきます。胃の裏側(背中)にも硬さや反応が出やすいため、背中の治療も重点的に行います。治療後は一時的にですが、吐くことなく食べられるようになる方が多いです。食べられるものがいくつかある方に関しては食事の指導も行います。体質により、嘔吐を誘発してしまう食べ物があるためです。食べられるものが限られている方には、異常な偏りがない限りは食べられるものを口にしてもらいながら、頻回に治療することで辛いピークを短くするよう治療します。

②肝胃不和(かんいふわ)

肝』の高ぶりによりに胃の機能に影響を及ぼすことでつわりの症状が起こります。個人差がありますが主な症状は以下の通りです。

・ゲップがよく出る
・口の中が苦いまたは酸っぱい
・胸苦しさがある
・食べていなくても嘔吐する
・頭痛やめまいがある
・ため息がよく出る

高ぶった『肝』の気を引き下げ、バランスをとる治療を行います。また食事の指導も同時に行います。食べたものにより症状が誘発されることがあるためです。また目や首、肩の治療も積極的に取り入れます。日常的に目の疲れにも注意してみてください。このタイプは治療をしないと長引くことも多く、口の苦さや酸っぱさが出産するまで続くという方もいます。早めに体のバランスを取り、妊娠期を通して調整する力を一緒に身に着けていきましょう。産後の辛さやイライラともうまく付き合えるようになるはずです。

「鍼灸院に着た後はご飯が食べられる」

気持ちが悪く、ずっと辛い状況が続いているときには鍼灸治療が助けになると思っています。ずっと船酔いのような状況から数時間、数日でも解放されることはつわりの辛い方にとって、とても重要な嬉しい出来事です。鍼灸院に着た後はご飯が食べられると嬉しそうに話してくださる姿は、私にとっても嬉しい瞬間です。

妊活中から通ってくださっている方の多くは、体質に合った全身治療を受けることでひどくなることなくつわりの時期を終えていく方が多いです。何となく調子が悪い、気持ちが悪い、においに敏感になってきた、食べるものを選ぶようになってきたなど、つわりの症状が出始めたら早めの治療をお勧めいたします。

妊娠中期(16~28週未満)

妊娠中期の主な症状

一般的に一番安定している時期と言われますが、どんどん増える血液量の影響で貧血になりやすい時期。『血』の不足が全身のバランスを崩すと様々な症状が現れます。

・下肢静脈瘤
・痔
・頻尿
・動悸、息切れ
・おりものの増加
・貧血
・便秘
・腰痛
・むくみ
・こむらがえり

23週以降からはマタニティオイルトリートメントもお受けいただけます。鍼が苦手な方もオイルケアで全身の血流を整え、リラックスしにお越しくださいね。

妊娠中期は肩こりや腰痛など、痛みに対する治療が増えてきます。また、『血』を造りやすくするための治療や巡りを整える治療を行っていきます。妊娠期の中で比較的安定していると言われるこの時期。素敵なマタニティライフを送るために、ぜひ鍼灸治療、マタニティオイルトリートメントをご利用ください。

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妊娠後期(28週以降)

妊娠後期の主な症状

いよいよ出産に向けて準備を始める時期ですね。節々の痛みや、前駆陣痛の痛み、睡眠への影響など症状が多岐にわたります。良いお産、そして産後を迎えるために鍼灸治療やマタニティオイルトリートメントをフルに使っていただきたい時期です。

・逆子
・高血圧
・後期づわり(食欲不振)
・動悸
・お腹の張り
・頻尿
・貧血
・腰痛
・股関節痛
・恥骨痛
・睡眠の悩み

中医学的な逆子の種類

逆子の多くは妊娠末期になると自然に正常胎位に戻ると言われています。しかし現代では早めに帝王切開の話が出てしまうため、不安や焦りを感じる方も多いでしょう。逆子になる原因は多岐にわたります。臍帯が極端に短い場合や、何重にも首に巻いてしまっている場合、羊水量が極端に少ない場合は逆子の鍼灸治療には適しません。その他の原因や原因不明の逆子に対して鍼灸を用いて逆子治療をします。

①気血両虚(きけつりょうきょ)

妊娠前から『気』と『血』が不足していることが多く、妊娠によってさらに消耗し、胎児が回ることができないため逆子となります。疲労感があり横になることが多い、食欲不振または食べ過ぎてしまう、筋肉量が少ないタイプです。

『気』と『血』を補う(鍼灸+生活習慣)

回転を促す(灸治療)

②気滞(きたい)

ストレスや抑うつ状態によって、『肝』の気がうまく回らず『気』が滞って胎児の回旋を阻害し、逆子となります。また、冷えによって一時的な気滞になることもあります。胸苦しさや、イライラ抑うつなどの症状が出やすいです。

『肝』の気のバランスを整える(鍼灸治療+生活習慣)

『気』の巡りを整える(鍼灸治療+生活習慣)

回転を促す(灸治療)

③脾虚(ひきょ)

『脾』の気の不足により、水分代謝が悪くなり、体に水分や湿気を溜め込みやすくなります。水湿が溜まることで湿邪を引き起こし逆子となります。身体の重だるさや、疲労感むくみが出やすいです。

『脾』を補う(鍼灸治療+生活習慣)

水はけを良くする(鍼灸治療)

回転を促す(灸治療)

逆子の鍼灸治療は古くから行われてきました。逆子と言われて焦る気持ちが気血の消耗や気滞に繋がります。早めにご相談ください。逆子で初めて鍼灸を体験する方も多いです。逆子の治療が安産に繋がります。ゆったりとした気持ちでお産を迎えたいですね。

妊娠中の鍼治療は安全なのか

妊婦さんへの鍼灸治療は禁忌(してはいけない)とされる時代がありました。しかし現在は研究が進み、薬が満足に使えない妊娠中だからこそ鍼灸治療を勧めるという時代になってきています。それに伴い、ほとんどのツボを妊娠前と同様に使用しても良いという文献も見受けられるようになってきました。

しかし、当院では必要と判断したツボのみを使用し、妊娠前よりもかなり鍼の本数を減らして治療するよう心がけております。特に妊娠初期の足部への治療は、お腹の強い張りがある、出血があるなど、どうしても必要だと判断した時のみ使用しています。妊娠中は鍼への反応が敏感になる方が多いです。少しの刺激でしっかりと効果が得られます。そのため妊娠前と同じ刺激量の治療は負担が大きいと感じるからです。安心して治療を受けていただくため、情報収集を欠かさず、今後も妊婦さんの安全な鍼灸治療を続けていきたいと思っております。

ご不安なこと、ご質問等ございましたらお気軽にお尋ねくださいませ。

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