不妊治療の採卵を受けたときに「卵胞は育っていたのに、卵子が見つからなかった」と言われることがあります。
これを空胞(くうほう)といいます。
空胞とは?
卵胞は「卵子」だけでなく、その周囲を取り囲む顆粒膜細胞(かりゅうまくさいぼう)や卵胞液からできています。
卵子が存在しなくても、顆粒膜細胞はホルモン(エストラジオール=E2)を分泌するため、血液検査ではE2が上がっていても空胞だったということが起こります。
なぜ空胞になるの?
- 卵子が途中で退行してしまった
- 卵胞の発育と卵子の成熟がアンバランスになった
- 年齢や卵巣機能の影響
- 排卵誘発や採卵のタイミングが合わなかった
このような理由が考えられます。
そして、もうひとつ大切なのが、トリガー(排卵を促す注射)の影響です。
トリガーと卵子成熟の関係
トリガーは、卵胞がある程度育ったあとに行う、
卵子を最終的に成熟させるための「合図」のような役割を持っています。
このトリガーの
- 投与のタイミングが遅れたり、早すぎたりした場合
- 投与量が体に対して十分でなかった場合
- 使用した薬剤の種類(hCG・GnRHアゴニストなど)が、その方のホルモン状態に合っていなかった場合
卵胞の大きさやE2の値が一見問題なく見えていても、
卵子の成熟が不十分なまま採卵となり、空胞や未成熟卵が増えることがあります。
トリガーを工夫することで改善することも
空胞が多い場合、次の採卵で
- トリガーの種類を変更する
(hCG → GnRHアゴニスト、またはその逆) - 2種類を組み合わせる「ダブルトリガー」を用いる
- トリガーの投与タイミングを微調整する
といった工夫によって、卵子がしっかり回収できるようになるケースも少なくありません。
これは「どれが正解」という話ではなく、
その方のホルモン値の推移、卵胞の育ち方、過去の採卵結果を踏まえて調整していくものです。
空胞があっても大丈夫?
1回の採卵で空胞が多いと落ち込んでしまいますが、次の採卵でしっかり卵子が採れる方も多くいます。
刺激法(薬の使い方)や採卵のタイミングを調整することで改善する可能性もあります。
心がけたいこと
- 空胞は珍しいことではない、と知っておく
- 医師と相談しながら刺激法を調整してみる
- 睡眠・栄養・ストレスケアなど、日常の体調管理を整える
おわりに
「E2が上がっていたのに空胞だった」という経験は、不妊治療の道のりの中で大きな不安につながります。
でも、それは「もう妊娠できない」という意味ではありません。
顆粒膜細胞はきちんとホルモンを分泌し、体は反応しているサインでもあります。
焦らず、次のステップにつなげていけるよう、医師やサポートしてくれる人たちと一緒に歩んでいきましょう。
