目次
はじめに
妊活中や妊娠中の栄養でよく耳にする「葉酸」。
なぜ必要なのか、どれくらい摂ればよいのか、サプリは必要なのか…疑問を持つ方も多いはず。
今回は、葉酸の役割・必要量・食事からの摂取方法について、出典とともに解説します。
葉酸とは?
葉酸はビタミンB群の一種で、DNAや赤血球の合成に関わる重要な栄養素です。特に細胞分裂が活発な時期である妊娠初期に、胎児の神経管閉鎖障害(無脳症や二分脊椎など)を予防するために必要とされています【厚生労働省】。
- 水溶性ビタミンのため体内に蓄積されにくい
- 加熱に弱く、調理で失われやすい(約50%減)

妊活中と妊娠中の葉酸摂取量
厚生労働省の推奨量
- 妊娠を計画している女性~妊娠初期(妊娠12週まで)
- サプリでの摂取:400µg/日
- 通常の食事から:240µg/日
- 妊娠中期以降
- 追加摂取:240µg/日(食事から)
(出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」、妊娠期・授乳期の食事と栄養)
なぜサプリが必要?
食事だけで推奨量を満たすのは難しいため、妊活中からサプリメントで400µgの葉酸を補うことが推奨されています。
妊活中はなぜ必要?
妊娠が分かる頃には、胎児の神経管はすでに形成され始めています(妊娠4~5週)。
この時期に十分な葉酸がないと、神経管閉鎖障害のリスクが上がるため、妊娠前からの準備が必要です。
- 卵子の質の維持
葉酸はDNA合成を助けるため、卵子の正常な分裂・成熟をサポートします。 - 着床環境を整える
子宮内膜の細胞も増殖するため、葉酸が不足すると着床率低下に関係する可能性があります。 - 受精から着床までの初期発育に必須
妊娠成立直後から細胞分裂は急速に進むため、妊活中の摂取が重要です。
(参考:厚生労働省「妊産婦のための食生活指針」、American Journal of Clinical Nutrition)
妊娠中はなぜ必要?
妊娠中も、葉酸は引き続き重要な役割を果たします。
- 胎児の成長に不可欠
- 妊娠中期以降も、胎児の細胞分裂や臓器形成は進んでいます。
- 赤血球の合成にも関わり、母体と胎児の血液量増加をサポートします。
- 貧血予防
- 妊娠中は血液量が40~50%増加するため、鉄と同様に葉酸も不足しやすくなります。
- 葉酸不足は巨赤芽球性貧血の原因になります。
- 早産や低出生体重児のリスク低減
- 葉酸不足は神経管閉鎖障害だけでなく、早産や胎児発育不全のリスク増加と関連していると報告されています。
(出典:WHO「Recommendations on Antenatal Care」、厚生労働省)
葉酸を食事で補うには
葉酸は野菜・果物・豆類などに多く含まれています。
しかし、加熱で半分程度失われるため、生で食べられる食材や調理方法に工夫が必要です。
葉酸を多く含む食品と含有量(可食部100gあたり)
| 食品 | 含有量(µg) |
|---|---|
| モロヘイヤ | 250 |
| 枝豆 | 260 |
| ほうれん草(生) | 210 |
| アスパラガス | 190 |
| ブロッコリー | 180 |
| アボカド | 84 |
| いちご | 90 |
| 納豆 | 120 |
(出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」)
食事での工夫ポイント
- サラダやスムージーで生野菜を取り入れる
- 枝豆や納豆など加熱しない豆類もおすすめ
- 加熱する場合は短時間で調理
サプリ選びの注意点
- モノグルタミン酸型の葉酸を選ぶ(体内吸収が良い)
- ビタミンB6・B12と一緒に摂取できる製品が理想
- 過剰摂取に注意(上限量:1,000µg/日)
まとめ
- 妊活中から準備が必要!
→ 妊娠初期に神経管閉鎖障害を予防するため - 妊娠中も重要!
→ 胎児の発育・貧血予防・早産予防 - サプリ+食事でバランス良く
→ サプリで400µg+食事で補うのがベスト
参考文献
- 厚生労働省「妊産婦のための食生活指針」
- 日本人の食事摂取基準(2025年版)
- WHO Recommendations on Antenatal Care
- 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
- American Journal of Clinical Nutrition
